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『わしは伊藤忠に命かけとる』岡藤会長が自社株8万株を買った意味

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Yahoo!ニュースで、伊藤忠商事の岡藤正広会長の記事を読んだ。

万年4位とも言われた伊藤忠をトップ商社へ押し上げた人物として、その経営手腕や人心掌握術が紹介されていたのだけど、自分が特に引っかかったのは、2014年の仕事始めで語ったというエピソードだった。

岡藤氏は、伊藤忠のOB約100人を前にこう切り出したという。

「この1年だけで、伊藤忠の株、8万株買うたんですわ」

当時の正確な購入単価までは分からないが、2013年の伊藤忠株の値動きから考えれば、1000円~1300円程度だったので、8万株はざっくり1億円近い規模になる。

しかも、単に買ったという話ではない。

社長をやっている間も、会長になっても、その後も簡単には売れないとして、最後にこう言った。

「わしは伊藤忠に命かけとるんですわ」

会場から「岡藤、頑張れ!」と喝采が上がったというが、これは社員じゃない「たかが100株程度の株主」である自分も痺れた。

「頑張ります」と1億円を入れるのは全然違う

経営者が「会社を成長させます」「企業価値を高めます」と言うのは珍しいことではないが、そこに自分の大金を入れるとなれば、言葉の重さはまったく違ってくる。

会社が成長して株価が上がれば、自分の資産も増える。反対に経営がうまくいかず企業価値が毀損すれば、自分自身にも返ってくる。

もちろん岡藤氏ほどの経営者にとって、その金額を一般の会社員と同じ感覚では語れない。それでも、自分が経営する会社に1億円近いお金を投じ、簡単には売らないと宣言する姿勢には、相当な覚悟を感じる。

まぁ正当なところでしか買えないし、逆に売れないのもルール上あると思う。だからみんな気合入れて買うことはないのだろうと思うし、自社の株を買わない経営者は「社長から会長になってに退任して逃げ切ったらもうどうでもいい」みたいな雰囲気を感じる。

岡藤氏は、「お前たち頑張れ」ではなく、「俺も自分の金を乗せた。一緒にやろう」的なスタンスなのだ。

「経営者の持株」を見るのも面白いのかも

過去の日本株を見ていると、昔は今ほど「株価を上げること」が経営者に強く求められていなかったように感じる。

そんな時代に、自分自身が大株主になればどうだろう。株主にとって何が大切なのかを、文字通り自分の財布で感じることになる。投資家と経営者の利害が近づく。

これは結構大切なことだと思う。

そして、この話は個人投資家である自分にも返ってくる。

自分たちが株を100株買うのも、本質的には同じで、その会社に自分のお金を預け、「この会社にはこれからも成長してほしい」と期待する行為だ。

だから決算書や配当利回りを見るだけでなく、「この会社の経営者自身は、自社株を持っているのか」を見るのも企業を見る一つの視点なのだと思う。

口では何とでも言える。でも、自分のお金を入れるのは怖い。ましてや、それが1億円近い金額ならなおさらだ。

「わしは伊藤忠に命かけとる」

この言葉が人の心を動かしたのは、カリスマ経営者だからではなく、その言葉の後ろに8万株という自分自身のリスクがあったからなのかもしれない。

投資家として、こういう経営者が率いる会社には、やっぱり少し惹かれてしまう。



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