投資系の本やSNSを見ていると、「経済的余裕があったからこそできた決断」という話を見かけることがあります。
例えば、仕事で心身ともに疲弊し、メンタルクリニックを受診した結果、うつ病と診断された人の話。
その人はすぐに休職を決断しました。
理由はシンプルです。
数年分の生活費を貯めていたから。
収入が減っても生活はできる。
だから休むことを選べた。
その決断によって心身を回復させ、その後の人生を立て直すことができたそうです。
素晴らしい話だと思います。
でも、その話を聞くたびに、私は少し違うことを考えてしまうんです。
なぜなら私は、「経済的余裕がなかったからできなかった決断」が過去にあったからです。
休みたくても休めなかった
今から10年近く前。
私は前職で管理職をしていました。
仕事量は膨大、利益目標も厳しい、けど人件費を増やすことは認められない。
スタッフに負担をかけたくない。
そんな状況の中で、自分がやれば何とかなると思い込み、毎日のように終電近くまで働いていました。
今振り返れば、完全に壊れる前兆が出ていました。
眠れない。
食欲がない。
常に不安。
休日も仕事のことばかり考えている。
明らかにおかしかったと思います。
それでも働き続けました。
なぜか。
休めなかったからです。
当時の私は、うつ病よりお金のほうが怖かった
当時の総支給は30万円程度でした。
家族がいて、いろいろやりくりしても毎月の生活費はざっくり25万円ほど。
決して贅沢していたわけではありません。
普通に暮らして、それくらい必要だったんです。
仮に休職したらどうなるか。
傷病手当金を利用した場合、収入は給与の約3分の2程度になります。
単純計算で20万円前後になれば、毎月赤字になる。
休めば生活費が足りない、子どももいる、そう考えると、休職という選択肢は現実的ではありませんでした。
本当は休むべきだったけど、当時の私は、うつ病になることよりも、収入が減ることのほうが怖かったんですよね。
だから働き続け、退職してすぐに転職するという荒治療をしました。
結果的に、当時は心も体も壊れてたと思います。
スポンサーリンク
あの頃の自分に必要だったのはFIRE資金ではなかった
今、資産形成界隈ではFIREという言葉をよく見かけます。
もちろん素晴らしい目標だと思います。
でも、あの頃の私に必要だったのは、そんな大金ではありませんでした。
必要だったのは、「少し休んでも大丈夫」と思える安心できるお金。
半年分の生活費でもあれば…そのくらいの生活防衛資金があったらどう決断していたんだろうか。
きっと、「一度休もう」という決断ができたと思うんです。
人生を変えるのに必要なのは、必ずしも大金じゃない。
選択肢を持てるだけのお金。
それが大事なんだと、今は思います。
さいごに
「経済的余裕があったからできた決断」という話を聞くたびに、きっとどこかに「経済的余裕がなかったからできなかった決断」をする人が存在するのだと思います。
あの頃の私は休めませんでした。
でも今は違います。
配当金も資産も、まだまだ十分とは言えません。
それでも昔の自分よりは、確実に選択肢が増えています。
資産形成とは、お金を増やすことだと思っていました。
でも今は少し違います。
資産形成とは、人生の選択肢を増やすこと。
そして、未来の自分を守るための保険を作ること。
そう考えるようになりました。

