「もう40代だし、今からお金を貯めても遅い」
そんなふうに思っている氷河期世代は、きっと少なくないと思う。
就職するだけでも大変だった。ようやく会社に入れたと思ったら、給料は会社から言われるがまま。景気が悪くなればリストラの不安にさらされる。
そんな時代を生きてきて、お金なんて簡単に貯まるわけがない。
それなのに、ある日突然「老後には2000万円必要です」と言われる。
「いやいや、今まで散々な目に遭ってきて、今度は老後のお金まで自分で何とかしろって?」僕ら氷河期世代が老後に不安を感じるのも、無理はないと思う。
そんな世代に向けて書かれたのが、ななしさんの著書だ。
ななしさんとは以前からXで交流があり、出版されると知ったときから楽しみにしていた。
実際に読んでみたので感想を一言。
この本は、投資について学べる本であると同時に、僕には氷河期世代に、まだ諦めなくていいよと伝える本のように感じられた。
会社に拾ってもらった。その恩を返さなければいけない
僕自身、かつて会社というものを「自分を拾ってくれた場所」だと思っていた。
就職すること自体が難しかった時代だったから、雇ってもらえただけでもありがたい。だから会社には恩返しをしなければいけないし、多少つらいことがあっても耐えるのが当たり前だと思っていた。
その結果、どんな苦境にも耐えようとした。
そして耐えられなくなれば倒れ、会社から見れば、また別の「代替品」に替えられていく。
今になって振り返れば、ずいぶん会社に人生を預けていたと思う。
でも、当時はそれ以外の生き方をあまり知らなかった。
投資なくして65歳までに3000万円は無理
この本が掲げている目標は分かりやすい。
65歳までに3000万円。
40代で貯金がほとんどない人がこの数字を見れば、「無理だろ」と思うかもしれない。
ただ、自分自身もインデックス投資を実践してきた経験からすると、決して夢物語の数字ではないと思った。
もちろん簡単ではない。収入も家族構成も違うので、誰もが同じように達成できるわけでもない。
それでも40代なら、まだ15年、20年という時間が残されている。
僕は40代というのは、お金について考えるうえで不思議な年齢だと思っている。
20代ほど時間は残されていない。でも、老後が始まるほど歳を取っているわけでもない。
「もう無理」と諦めるには早い。でも、何もしないまま先送りするには、そろそろ時間がない。そんなギリギリの場所にいる。
だからこそ、この年代でこの本を読む意味があるのだと思う。
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「ほどほど幸せ」という言葉がいい
この本で僕が一番好きだったのは、実は3000万円という数字ではない。「ほどほど幸せ」という言葉だった。
お金は多いほうがいい。それは間違いないと思う。
3000万円より5000万円、5000万円より1億円あれば、人生の選択肢は増える。でも、大きすぎる目標には一つ問題がある。
「そんなの自分には無理だ」と思った瞬間、最初の一歩すら踏み出せなくなることだ。あるいは無理をして始めても、苦しくなって途中でやめてしまう。
それなら、最初から大金持ちを目指さなくてもいい。
老後に年金がある。そのうえで、自分で作った資産から毎月少しだけ生活を補える。
本書では、3000万円を運用しながら取り崩し、「年金+月10万円」という考え方が紹介されている。
僕自身は取り崩しではなく、配当金で月10万円を目指しているので方法は違う。
でも、考えていることはよく似ている。年金以外に毎月10万円、自分の資産から入ってくる。それだけでも、老後の安心感はずいぶん違うと思う。
豪邸に住まなくてもいい。毎月高級レストランに行かなくてもいい。普通に食べて、好きなことをして、ときどき旅行して、お金のことで毎日不安にならずに暮らせる。
それくらいでいい。むしろ、それができたら十分幸せなのかもしれない。
氷河期世代は、まだ間に合う
氷河期世代が「今さら投資なんて」と思いたくなる気持ちも分かる。生きるのが精いっぱい、お金を投資に回せるお金がないんだ、言いたいこともわかる。
でも、40代ならまだ間に合う。というか、間に合わせるしか、ないんだわ。
だから、もし僕と同じくらいの年代で、「老後のお金、どうしよう」と悩んでいる人がいたら、まずこの本を読んでみてほしい。
いきなり人生を変えるのは無理、大金持ちを目指せません。だけど、まだこの年代ならコツコツ地道にお金を作って投資すればほどほどに幸せな資産額に近づける。
NISAを使って少額から積み立ててもいいし、まず自分が老後にいくら必要なのかを計算するだけでもいい。
「ほどほど幸せでいいんだから、今から少しずつやってみませんか」と背中を押してくれているような本って、なかなかないんじゃないですか!
40代。もう遅いんじゃない。まだ間に合ううちに、始める。
この本から僕が受け取ったメッセージは、そんな優しいななしさんからの、バトンだと思います。

