先日のこと。
仕事の合間に、久しぶりにドリップ珈琲を淹れました。
お湯を注ぎ、ポタポタと落ちていくコーヒーを眺めていると、ふと「これって資産形成と似ているな」と思ったのです。
焦らず、ゆっくり、時間をかけて味わい深いものをつくる。そんな点で、とてもよく似ています。
20代の頃の私は、まるでフィルターのないコーヒーのようでした。
お金が入ってきても、全部そのまま出ていく。
飲み会、服、スロットや競馬などのギャンブル。
お金がなくなったときほど、なぜか「一発逆転」を狙っていました。
気づけば、カップの底には何も残っていない。
今思えば、お湯を注いでも一滴も溜まらない“フィルターなしの人生”を送っていたのだと思います。
30代になると、現実が一気に変わりました。
仕事を辞めたことで収入が途絶えたとき、初めて「お湯がもうないのに下から出ていく」ような感覚を味わいました。
つまり、収入がないのに支出だけが続くという、恐ろしい現実です。
貯金はみるみる減り、焦りと不安で押しつぶされそうになりました。
この経験を機に、私は「フィルターを厚くする」ことを覚えたのです。
節約、ポイ活、昼食抜き、外食ゼロ。
必要以上に家族に我慢をさせてしまった時期もありました。
それでも、出ていくお金を減らすことしかできなかった。
それが当時の私の“資産形成”でした。
転機が訪れたのは、配当株に出会ったときです。
配当金をもらい、そのお金でまた株を買う。
そうして得た配当でさらに株を買う。
まるで、ポタポタと落ちるコーヒーの一滴が、次の一滴を生むようでした。
最初は微々たるものでしたが、時間をかけるうちに少しずつ香りが立ち始めるように、お金も増えていく実感を得られるようになりました。
焦って短期で成果を求めるより、じっくりと滴を重ねていくほうが、確実に“味”のある資産形成になると感じたのです。
40代になった今、ようやく心に余裕が持てるようになりました。
以前はコーヒーといえば「眠気を覚ますための飲み物」でしたが、今は豆を挽き、香りを楽しみながらゆっくりと淹れる時間を大切にしています。
資産形成も同じで、短期間で成果を出そうと焦るより、時間を味方につけてじっくり育てることのほうが大切だと思うようになりました。
コーヒーを淹れるときのように、焦らず、余裕を持ち、ゆっくりと時間をかけていく。
人生もお金も、急いで煮詰めれば焦げつくだけです。
大切なのは、自分に合った“落とし方”を覚えること。
たとえ時間はかかっても、その過程の中に学びや味わいが生まれていくのだと思います。
お湯を注ぐ手を止めて、ポタポタと落ちていくコーヒーを眺めながら、私は改めて思いました。
「焦らず、続けることが一番の近道なんだ」と。
今日のコーヒーは、いつもより少しだけ甘く感じました。
あなたは、どんな“落とし方”で人生を味わっていますか?
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